特 集

3.11福島原発事故

1 19913月11日1446分「東北地方太平洋沖地震」が発生した。

 青森・岩手・宮城・福島・茨城等東日本は地震とこれによる津波の被害を受けた。

 東北地方では地震と津波により約2万人の尊い生命が奪われ、家屋も町も村も根こそぎ消滅させられた。東京湾内でも石油コンビナートの火災等の被害を受け、近年最大の災害となった。

太平洋岸の女川・福島第一・福島第二・東海第二の原子力発電所で11基の原子炉が運転中であった。各原発では自動緊急停止をしたが、地震の後に襲ってきた巨大な津波により福島第一原発では電源が消失してしまった。そのため核燃料の残留熱冷却が出来なくなり、1〜4号機が爆発して世界最大のレベル7の原発事故が起こってしまった。

1 福島でいったい何が起こったのか

2011111205-thumbnail2 福島では大震災の被害を受けていたが、

更に追い討ちをかけるように福島第一原発事故による被害を受けた。

絶対に事故が起きないという「安全神話」を信じていた付近住民はこの事故により被爆を受け汚染されたふるさとから避難を余儀なくされている。

 福島第一原発事故はこの原発付近だけの被害には留まることはなかった。宮城県の干し草が汚染され肉牛が内部被曝とされ、神奈川県の茶畑のお茶が汚染され、水道水においては栃木県群馬県では放射性ヨウ素とセシウム・東京埼玉千葉新潟では放射性ヨウ素が検出されている。等々の被害が広範囲に出ている。東京都では水道水から210ベクレルの放射能が検出され乳幼児に水道水を飲ませることを控えるよう求めた。これを機に「水道水汚染不安」が全国的に広がった。「不安」だけではなく実際に母乳から放射性ヨウ素等が検出されている。

 福島では、原発事故後政府が原子力緊急事態宣言を発して福島第一原発から半径3Km以内の住民の避難指示が出されたが、1号炉で水素爆発が起こり、避難範囲は20Kmに拡大された。このため2市6町2村の8万人余りが緊急避難をした。しかし、その後3号機・2号機・4号機と続けざまに爆発を起こし半径20Km〜30Kmの住民に対し屋内退避指示が出された。汚染はそれだけではおさまらなかった。30kmの同心円外でも高濃度の放射線汚染が検出され、広範囲の汚染が確認された。福島・宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉県等で農作物から基準値を超えた放射性物質が検出されている。

 更に、海洋汚染が進行している。プルサーマルの3号炉が爆発したときは大量の放射性物質が上空に放出された。半分は地上に落下しており、東電はこれの回収処理に当たった。残りの半分は海中に落下したはずであるが、東電は付近300mぐらいの海底にコンクリートを流し込んだだけしかしていない。大量の放射能が海中に流失しているはずである。さらに冷却水の流失等いろいろ理由を並べながらも大量の汚染水を垂れ流しにしている。文科省で調査した海底のセシウム量調査でも福島県沖30Kmの地点で通常時の数百倍に当たる1kgあたり320ベクレルが検出された。いわき市沖で取れたコウナゴからは1Kgあたり14400ベクレルのセシウムが検出され、コウナゴ漁は中止された。

 カナダまで震災のがれきが漂流したという、放射性物質も一緒に漂着しているのだろうか?

この福島第一原発の事故で福島県内だけにとどまらず日本国中が・世界中が放射能で汚染されていることに不安と怒りを感じた。

 

2 放射能の恐怖

images25年以上前に旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が有り、多くの方々が被爆をし、広大な土地が放射能により汚染されました。セシウムによる土壌汚染はチェルノブイリを中心に半径600Kmにも及びました。レベル7の大事故です。

この当時、社会主義国で起きた事故について、秘密主義・住民軽視・事故処理の遅れ等とマスコミを先頭に批判していました。しかし、現在日本で同じことが起きています。

メルトダウンを隠し、WSPEEDIによる放射能の拡散を隠し、住民避難は後手後手にまわり、テレビでは御用学者が安全です・爆発はしません・ただちに健康に影響はありません・汚染土地は除染できる等々嘘八百をならべ立てていました。(そいつらは今はテレビにでませんね)

プルトニュウムを飲んでも安全と言う御用学者(事故前のものですが) http://www.youtube.com/watch?v=6byKIUiuBcg&feature=related

原子力発電所は25年たっても何一つ学習していないのです。原発を推進している業界・学者・電力会社・保安院・安全委員会・政治家等々が国民を騙すために作り上げた「安全神話」を武器に「安全である」「事故対応はいらない」と言い続けていたのです。そして、自らもその「安全神話」を真実と思い込み、事故対応について万全の対応策を考えていなかったのです。図のようにチェルノブイリの事故汚染範囲を福島第一原発を中心に重ね合わせて見れば、日本の半分が汚染されてしまっているのです。事実避難すべき汚染範囲は広大で避難不可能ということで半径何Kmと言う範囲に限定しているのです。福島市内でも千葉県柏市でもホットスポットと言われる高濃度汚染地域が多数あります。チェルノブイリの事故でもベルルーシでは国家の三分の一が汚染地域となっています。そこには住民がおり、食料を作り食しています。「何十年先にガンになる恐怖より現在生きていくこと」を選択せざるを得ないのです。

また、当時事故処理にあたった作業員やチェルノブイリ付近に住んでいた住民は何年もの時を経て被害にくるしんでいます。子供たちは甲状腺がん・白血病に犯され・奇形で生まれてくる子供・脳にまで放射能の被害を受けたり、そんな状況が続いています。

歌手のナターシャグジーさんはチェルノブイリ原発で働いていた父親とその付近(3.5Km)に住んでいた家族共に6歳の時に被爆をしました。事故後3日間なにも知らされないまま放置され、その後急に「3日間だけの一時的な避難」のためにと手荷物のみを持ってバスに乗せられ避難をしました。それ以来「ふるさと」には帰ることができませんでした。今でも原発で事故処理をしていた父親も含めて家族が自分がいつ発病するかの不安を持って生活しています。コンサート等で淡々と語るナターシャさんの話や最後に会場全員で歌う「ふるさと」の唄に思わず涙ぐんでしまったほどでした。

川崎市内に住んでいる知人の若い夫婦は事故から2ヶ月目に出産しましたが、洗濯物は外には干せず、赤ちゃんが外出するときは夏でもすっぽり包み込むようにして抱いています。不安なんです。

 

3 原子力発電所は安全なのか

images (2) 福島の原発事故では「想定外」と言うことがよく言われていますが、本当に今までにない地震や津波だったのでしようか。江戸時代や明治時代の歴史を調べてみれば同程度の地震や津波が有ったことがわかります。「想定外」を言う輩は、自らの責任から逃げているだけなのです。特に東京電力は天災に見舞われた被害者ヅラで福島の人々への責任を逃れようとしているのです。それを原子力ムラが一体となりバックアップしているのです。(許せない・怒り(`・ω´)

原子力発電所一覧表   http://qmitirk.web.fc2.com/t311siryou1.htm

 地震発生当時8.4と発表されたマグニチュードが9.0といつの間にか変更されていて、何故かなと思ったら通常使っていた「気象庁マグネチュード」を今回だけ「モーメントマグネチュード」に変更したのだとか。たった0.6の差でも(マグネチュードが1違えば32倍ものエネルギーになる)防ぎきれない天災を演じていたのです。気象庁もぐるかよ?

 ところで、福島第一原発の事故は津波による電源喪失だけで事故が起きたのでしょうか?福島第一原発は昭和45年ごろ竣工したものであるから地震強度も500ガル程度で設計されていたそうです。今回の地震も500ガル程度だったそうですが、設計強度は原子炉・圧力容器等は考慮されていたでしょうが、無数にある配管の損傷についても事故原因として考えられるのではないでしょうか?格納容器の内部圧が8気圧にもなって(設計許容値4気圧)ベントが必要だとか大騒ぎをしていましたが、本来格納容器の内部厚は大気と同じ1気圧のはずなのです。格納容器の内部圧が急上昇したことで圧力容器の外部配管が破損・亀裂して圧力が漏れてきていたことは自明です。原子力発電所は地震で壊れるのです。

 そして、大地震はくるのです。

 

浜岡原発 450 600 800 1000ガル

阪神 2000 2500ガル

柏崎原発事故 2000ガル 変圧器火災

3866ガル

活断層がないところ

沸騰水型 70気圧

浜岡 

12日 ゲージ圧 0.80 9気圧

ベントの恐怖

バルブを開いて圧力容器の圧を

  1〜3号炉はメルトダウンもしくはメルトスルーしているのか

1〜4号炉はなぜ大爆発をしたのか

 

 

MITの王禅寺研究所の北側に日立製作所王禅寺センタでは熱出力100キロワットの練習用原子炉がありましたが、現在廃炉となって解体されていますが放射能を帯びた廃棄物だけは外に持ち出すことができず(日本中どこにもそんなところはないですけど)200リットルドラム缶換算で約500本分も残置されています。旧MITでも使わせていただいたかもしれないこんなちっぽけな原子炉でも放射性廃棄物が処理できないでいます。当然福島第一原発は廃炉となるでしょうが膨大な放射性廃棄物は一体どうなるのかが心配です。日本中の原発では想像もできない量でしょう。さらに、使用済み核燃料に至ってはあのインチキNUMOでも現在処理しきれておらず、原発内の「使用済み燃料タンク」に大切に保管されていますね。それを考えるならば今後原子力発電が続けられるはずもない。ちなみに、高レベル放射線廃棄物はガラス固化体として300m以上の地下に埋設されるが、ガラス固化体と同量の自然界のウランと同程度の放射線となるには数千万年かかるという。人間の歴史がたかだか700万年だというのに一体そんな管理が出来るわけはない、万が一事故が起これば地球全体の汚染につながりかねない。


4 脱原発と原子力村

photo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツZDFテレビ「フクシマの嘘」    http://www.youtube.com/watch?v=ln9A4wHteiU

福島・最悪事故の影に潜む真実 1          http://www.youtube.com/watch?v=VjY_55gd9wU

福島・最悪事故の影に潜む真実 2        http://www.youtube.com/watch?v=HPPJJyuZ844&feature=relmfu

福島・最悪事故の影に潜む真実 3        http://www.youtube.com/watch?v=GjwQHW78Afs&feature=relmfu

福島・最悪事故の影に潜む真実 4     http://www.youtube.com/watch?v=ammCzi7lcoQ&feature=relmfu

 

5 学者・技術者としての原子力に対する責任

images (3)若き日の田中三彦さん

4号炉の主任設計 日立

技術論

京都大学小出裕章さん

 

 

 

 

 

 

 

6 いま、新たな反原発の流れが出来てきている

images (1) こうした状況の中で市民を中心に反原発の潮流が動き出している。労働組合でもなく学生組織でもない、ただの市民が自分や家族の生命を守るために立ち上がっている。

さよなら原発1000万人署名は約750万人もの署名が集まり政府に原発廃止の陳情をしている。

首相官邸前原発再稼働反対の集会は最初300人から始まってから大飯原発再稼働直前の6月29日の集会には約20万人もの市民が集まった。そして720日には異例の元首相も参加する事態となっている。

716日代々木公園の大江健三郎・瀬戸内寂聴・坂本龍一さん等の呼びかけによる「さようなら原発10万人集会」には主催者の予想を上回り17万人もの人々が集まった。

私もじっとしていられなくなり716日の代々木公園の集会に個人参加をした。

20120716_Yoyogi_005  真夏日の太陽が照りつける日曜日の午後でしたが、渋谷駅から街並みに似合わない「おじさん」「おばさん」が代々木公園に向かって行列が出来ていました。会場の代々木公園は人でいっぱい。考えてみれば脱原発に反対の輩は「原子力ムラ」の住人か原発で個人的に利益を得ている者だけだろう、ほとんどの人たちはこんなに危険な原発に反対しているのだろう。組織動員を基本的に断った集会と言っても、労働者諸君は一体なにを考えているのだろうか?反動と化した「連合」・「電力総連」は組織的には参加しないだろうが、反原発を掲げていた労働組合も数多くあったはずなのに・・・・・・。全労協の青年婦人部の動員が少々参加していました。今までとはちょっと違った「新しい」形態の集会が始まりました。

 集会は瀬戸内寂聴さん(90)大江健三郎さん(77)等そうそうたる方々の挨拶がありました。

集会の内容は   http://www.youtube.com/watch?v=IiGDoHBN-H0&feature=related

集会の途中からデモ行進が始まりましたが、延々と続くデモ隊列は渋谷・新宿・恵比寿の比較的短いコースでしたがデモ終了までに約4時間以上かかりました。

「再稼働反対」「原発いらない」「子供をまもれ」のシュプレヒコールが都心の街に響きました。

「アフタースクール」を彷彿させるドラム隊のグループは地響きがするぐらいの迫力があって気に入りました。昔のヘルメメットとゲバ棒姿の隊列よりアピール力があったみたい。http://www.youtube.com/watch?v=GwVc3e26WeI
 しかしながらこれだけの人々が結集しても、なかなかこの集会に結集した多くの人々の力で原発を止めるための行動提起が為されなかったように感じました。尊敬する広瀬隆さんまで「金」で解決しようなんてジョークを言う始末でした。でも、これが新たな時代を作っていくような「期待」と言うより「確信」を感じました。

 

最後にもし時間がありましたら広瀬隆さんの公演を聞いてみてください。http://www.youtube.com/watch?v=iQF-emMUaXY

 

 特集記事のうち「3 原子力発電所は安全なのか」「4 脱原発と原子力村」「5 学者・技術者としての原子力に対する責任」については工事中のままでごめんなさい。(ペコペコ)後日編集部で整理をして再記載したいと思います。

編集会議で一杯飲んでいるときはスラスラと話が出てくるのですが、しらふでこの暑さに立ち向かっていこうとした編集者が無謀でした。歳のことをすっかり忘れていました。

でも、「技術論」についてはみなさんと一緒に考えていきたいなと思っています。

 

参考文献

「レベル7福島原発事故、隠された真実」  東京新聞原発事故取材班 幻冬舎

「ニュートン別冊 原発の仕組みと放射能」             ニュートンプレス

「チェルノブイリクライシス」                   竹書房

「いま原発で何が起きているのか」                 共同通信社

「原子炉時限爆弾」            広瀬隆         ダイヤモンド社

「ジギル博士のハイドを探せ」       広瀬隆         ダイヤモンド社

「二酸化炭素温暖化説の崩壊」       広瀬隆         集英社新書

その他ユーチューブ・ユーストリーム・IWJ等で公開されていた原発に関する講演会等


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