一枚の絵(その1)


ウイリアム・アドルフ・ブグロー


<少 女>



 毎日が休日の老人は、健康維持のために散歩が日課となっています。近所の等々力渓谷や駒沢公園を1〜2周したり、鎌倉あたりまで行って寺社参りをしたりの日々です。そんな散歩コースの中でも、上野公園の散策が大好きです。公園内には歴史的な寺社も多数あり、昼食には韻松亭の美味しい湯葉料理を頂くのが楽しみです。そして、国立博物館、国立西洋美術館、上野の森美術館、東京都美術館、更に国立美大展示場等多数の美術館が有り、柄にもなく芸術文化に接することができる場所です。

 ブグローの「少女」は国立西洋美術館の常設展示場(美術館所蔵の作品)に展示されている数多くの絵画の中の1枚です。バブル時代に金に糸目を付けずに買いあさったであろう、有名画家の作品・中世絵画や宮殿に飾るような大型絵画が展示しているなか、隅っこにぽつんと展示されています。忙しく展示を見て回っている方々には気にも留めないようなのですが、私にはまるでスポットライトで照らされているように輝いて見えました。写真では良くわからないのですが、瞳が輝いて見えるのです。

 決してロリコン趣味ではないのですが、この少女の輝く瞳が私の心のように澄み切っているように見えます。心洗われる絵画で、この絵の前でしばし癒される時間に浸ることができます。(美術館にはブグローの絵画がこれ1枚しかないのは不満です。) 

 ブグローは19世紀のフランスの画家で新古典主義潮流の画家です。宗教絵画や天使画等も有名ですが、農村の生活感のある少女を描いた作品が素晴らしいと思っています。(なぜか、描かれる少女たちはほとんどが素足です。どうしてなのかな?)


 













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