時代を読み解くキーワード「記者クラブ問題」


 

「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。」

イギリスの思想家ジョン・アクトン卿(18341902年)の言葉である。



権力は放って置けば、必ず腐敗するし、私たち一般庶民にとって必ず悪い方向に暴走する。強者(権力)は弱者(一般庶民)をかばおうとはしない。弱いと知ればいじめはますますエスカレートする。強者は弱者から物を奪い取る。自分たちの都合のいいようこき使うし、生命さえ簡単に奪い去る。残念ながらこれは「人間の性(さが)」であり、「人間の歴史」であった。


権力者は情報操作の権力も握っている。「嘘も100回言えば本当になる」ということが日常茶飯事で起こっている。権力が暴走すれば、我々一般庶民は経済的困窮を強いられ、生活や健康を脅かされ、生命をも奪われる事態に陥らされる。公害、放射能、増税、失業、貧困、恐慌、戦争などである。権力の暴走を防ぐために「憲法」があり、「憲法」の範囲内で権力を行使しなさいという縛りなのだ。ところが、憲法を厳密に守っている政権など無い。

 

もう一つ権力を監視する重要なシステムがある。それはマスメディアでありジャーナリズムである。特にマスメディアは全国民に情報を流すことができるため影響力は甚大である。真実を報道し、権力の不正や誤りを指摘し、論陣を張る事が出来るのはマスメディアである。世論や民意をリードする事が出来るのはマスメディアである。強い力を持てない私たち一般庶民は世論や民意を通して権力に歯止めをかけるしか方法が無いのである。


 ところが、現在の日本のマスメディアは全くこの役割を果たしていない。今やマスメディアは政権、官僚、財界の味方であって、庶民の味方ではない。なぜこのようになってしまったのか?「記者クラブ問題」が大きい。記者クラブとは大手メディアによる互助会的馴れ合い組織である。記者クラブは排他的組織で、フリージャーナリストや外国メディア、インターネットメディアを徹底的に排除している。


政権、官僚、財界はこの記者クラブのみに情報を流し、記者たちはこれを元に新聞記事を書き、テレビのニュース番組を作っている。政権、官僚、財界、報道が一体になってしまっている。記者たちはここにいれば記事が書けるのだ。だから、彼らは厳しい質問も、追及もしない。自らの足とネットワークを使って、真実を追及しようとはしない。だから新聞報道は各社横並びであり、同じような記事になってしまう。各社「記事の融通」もやっている。自分の足で苦労して情報を収集しなくても、記者クラブに属していればそれで済むのだ。これでは権力の言いなりであり、批判精神や真実を追及する姿勢が無くなる。


 さらに、原発報道で明らかになったが、電力会社から膨大な広告宣伝費が、マスメディアに流れている。従って、マスメディアは電力会社に逆らえない。彼らの出す嘘の情報もそのまま記事にして、何ら追及する事が出来ない。経済産業省や電力会社から出る情報の多くは記者クラブを通して発信されている。これでは電力会社の悪口など一切言えない。


 今やマスメディアは「金と権力」でがんじがらめの状態なのだ。これでは真実の報道はできない。権力の都合の良いことは大々的に記事にするが、都合が悪いことは一切報じない。かつての日本でもあったであろう、数々の妨害や弾圧を受けながらも、堂々と正論をはく「気骨あるジャーナリズム」はどこへ行ってしまったのか?

 

 こうしたマスメディアや記者クラブのあり方に、異を唱え、問題視しているのは、上杉隆に代表されるフリージャーナリストやインターネットメディアである。ネットの世界では常識であることが、新聞やテレビでは一切報道されていない。つまり多くの日本人は新聞やテレビを信じているので真実を知らされていないことになる。そればかりか嘘の情報を100回言われて本当だと信じ込まされている。権力によるマインドコントロール、一億総洗脳化されている。これは本当に恐ろしいことである。戦前の「大本営発表」と同じ状態になっている。


私たち一般庶民は何度も権力に騙され続けていて、もはや手遅れかもしれないが、これ以上騙されてはいけないと切実に思う。現実の日本は「騙されたあなたにも責任がある」という状態になっていることを、私たちは肝に命じるべきだ。

 

 

代表的なインターネットメディア(一部)

それぞれインターネットで検索すれば出てきます。


  「自由報道協会」(上杉隆)

  「ビデオニュースドットコム」(神保哲生、宮台真司)

  「IWJ」(岩上安身)

 

フリージャーナリストは数多くいる。シリアで殺された山本美香さんもその一人。テーマ別に真剣に取り組んでいるフリージャーナリストが多くいることは心強い。

you tube」「U-STREAM」「ニコニコ動画」などでテーマ別の問題(例えば、原発、TPP、消費増税、新自由主義、規制緩和、郵政民営化、9.113.11など)を検索すればたくさん出てきます。



 

参考文献:「国家の恥、一億総洗脳化の真実」上杉隆

     「新聞、テレビはなぜ平気で嘘をつくのか」上杉隆

     「政府は必ず嘘をつく」堤未果

     「超マインドコントロール」伊藤整治

     「超マインドコントロール2」伊藤整治

     「報道災害(原発編)」上杉隆x烏賀陽弘道

     「騙されたあなたにも責任がある」小出裕章

     「騙されることの責任」佐高信x魚住昭




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