「戦争できる国へ―安倍政権の正体」斎藤貴男著
斎藤貴男は1958年生まれのジャーナリストである。20年来、貧困、格差社会、消費税、監視社会、情報統制などを取材し、政治、経済、社会問題に鋭く切り込んでいる。信頼できるジャーナリストのひとりである。本書では自民党改憲草案を検証し、安倍政権が行おうとしていることへの厳しい批判を行っている。
１．アベの目指していることは、「衛星プチ（ポチ？）帝国」である。すなわち、アメリカの尻馬に乗っかってどれだけ世界で権勢を振るえるか、ということだけである。「虎の威をかる狐」、その狐の中でもできるだけ大きな狐を願望しているに過ぎない。経済社会体制は、アメリカの相似形、新自由主義的な超格差社会を目指している。「企業が最も活動しやすい国」とは「労働者から最も搾取しやすい国、解雇しやすい国」と言い換えられる。政治体制については「大日本帝国の夢をもう一度」とばかり、戦前の前近代独裁封建国家への先祖返りを夢いている。「戦後レジームからの脱却」というのなら、アメリカの隷属支配からの脱却を目指すべきである。
２．「4.28主権回復の日」はサンフランシスコ講和条約発効により、主権回復した日と言われているが、沖縄が切り離され、また日米安保条約も同時に発効され、事実上米国隷属が決まった「屈辱の日」でもある。この日を祝うとはどうゆう神経の持ち主なのか？
アベは前政権の時「戦後レジームからの脱却」と盛んに言っていたが、「戦後レジーム」とは正しくアメリカと自民党の合作である。「戦後レジームからの脱却」ということはアメリカの戦後政策の否定であるので、それを察知してか、現政権ではあまり言わなくなった。いずれにしてもアベのいう「戦後レジーム」とは日本国憲法の「平和」「基本的人権」「主権在民」だけを指しているのである。それ以外は「戦後レジーム」にどっぷり浸って、アメリカの手の上で「大日本帝国ごっこ」をやりたいだけなのだ。
３．「アベの靖国参拝」に対してアメリカは異例の「失望した」とのコメントを出した。アメリカという国は自国の国益に叶えば、友好国が民主主義国家であろうと、独裁国家であろうとどうでも良い。一度自国の国益に叶わないと思えば牙をむく。アベの靖国参拝などはアメリカの手の上で「アホのアベちゃんがはしゃいでいる」「日本ごっこをやっている」位にしか思っていないだろうが、ちょっと調子に乗るなよ！と戒めたようにも思える。アメリカの「失望した」というコメントや、EU、ロシアの異例とも言える「懸念表明」にアベちゃんは落ち込んでいると思いきや、フェースブックの「いいね！」が多かったことに気をよくして意気軒昂のようである。つくづくこの男の頭の中身を疑いたくなる。
４．５月１５日だったと思うが、アベちゃんの三文紙芝居には爆笑させられました。何であれが集団的自衛権の問題なのか？第一、米軍艦船が民間人の救出に使われることはないし、ましてや日本の民間人が乗ることなどありえない。世界最大の軍事テロ国家であるアメリカの軍艦船って日本に守って貰う必要があるほど弱っちいのかねえ。
５．同じくアホのアソウちゃんは「ナチスの手口に学んだらどうかね」との問題発言を行った。アソウちゃんは単なるアホではなく変な悪知恵だけは働くことに感心させられた。すなわち「ヒトラーは民主主義で選ばれた。当時のドイツは世界最先端のワイマール憲法を持ちながら、ヒトラーの台頭を許した。憲法改悪などと大騒ぎせず、なるべく静かに外堀を埋めていけば、いつの間にか憲法が変わっていた。」
アベは現政権になってから、9条改悪を唱え、これが難しいとわかれば、96条で改憲手続きの簡略化を図った。これも難しいとわかれば、改憲を一切言わなくなり、憲法解釈変更に突き進んでいる。まさに「ナチスの手口に学んで」実行している。
６．私たちは、権力を握る資質も能力も思慮もない人間が権力を握ると「なんとかに刃物」という恐ろしい状態になることを嫌というほど見せつけられている。近代民主国家の大前提である立憲主義を否定する大問題であるにもかかわらず、大手マスメディアは事の本質をつく報道を一切行っていない。枝葉末節の報道ばかりであり、ニュースを見るのも嫌になってくる。
何とかこれらの動きを阻止できないか？デモや集会だけでいいのか？閣議決定の差し止めを法で訴えることはできないか？いろいろ考えるが無力感だけが先に来てしまう。
（参考動画）
アホのアベチャンの三文紙芝居には爆笑させられました。宮台真司君がアベチャンのおつむの中身を嘲笑していました。
https://www.youtube.com/watch?v=kvkNSmHGCEw
https://www.youtube.com/watch?v=iR2PYIUynJg