「本当は憲法より大切な『日米地位協定入門』」

前泊博盛編著


 

その(要約)




 



Q&AB

Q:具体的に何が問題なのですか?

A:現在日本には、北から南までアメリカ軍が駐留している。

  沖縄はもとより、首都圏には横田、座間、厚木、横須賀と首都圏中枢を取り囲むように存在する。また首都圏上空は「横田ラプコン」といわれる1都8県(東京、栃木、群馬、埼玉、神奈川、新潟、山梨、長野、新潟)の上空をおおう巨大な米軍の管理空域がある。首都圏にこれほど外国の軍隊によって占拠されている国は世界中で日本しかない。沖縄には「嘉手納ラプコン」と呼ばれる巨大な米軍の管理空域がある。ここには日本の民間機は飛べない。

 

「横田ラプコン」を避けるため、羽田空港を飛び立った旅客機は房総方面へ飛び立ち、十分な高度をあげ大きく旋回して西日本方面へ飛んでゆかなければならない。急激な高度上昇、急旋回により燃費がかかるし、危険性が増す。着陸もまた房総方面へ迂回してから羽田空港に着陸しなければならない。

那覇空港に離着陸時にはかなり低空飛行し、沖縄の綺麗な海が見えるが、これはサービスでやっているわけではなく、そうゆうふうにしか飛べない。もちろん安全性に問題がある。

このへんの問題は、さとるさんの読書4「読書の時間」の感想にある動画をご覧頂くとよくわかります。



そも・そも、米軍はなぜ今も日本に駐留しているのだろうか?前篇

そも・そも、米軍はなぜ今も日本に駐留しているのだろうか?後篇

そもそも日米地位協定の本質って何?

 

2012年東京都知事の石原慎太郎が尖閣問題で強硬姿勢を示した。これは国際的常識からいえば、本当にナンセンスな話だ。外国軍基地を首都圏におかれ18県の上空を外国軍に支配されている首都の知事がその問題も解決できないのに、わざわざ遠く離れた小島の権利を主張し、愛国心を喚起して自分の政治的野心のために利用する。まったく理屈の通らない茶番劇である。

 

日本には「原子力村」があるのと同じように「安保村」が存在する。戦後日本は「安保推進派」が作った国なので「安保村」とは日本そのものであり、その言論統制は大手マスコミを中心にほぼ日本全体におよんでいる。つまり「ご主人様アメリカ」は絶対であり、日本国や日本国民どうなってもいいと考えている。「アメリカの意図」を語ること自体が「陰謀論」として排斥される。

 

地位協定自体、不平等な密約で成り立っている。その上米軍に都合のよいように「恣意的な運用」がなされている。日本国の中で日本国の法律や主権が及ばない完全な「治外法権」である。日本はとても主権国家、法治国家とは言えない。

 

Q&AC

Q:なぜ米軍ヘリの墜落現場を米兵が封鎖できるのですか?その法的根拠は何ですか?

A:簡単に言うと、米軍の「財産」については、日本政府何も手出しが出来ない取り決めになっている。だから米軍が墜落して飛び散ったヘリの機体や部品を「財産」だと強弁すれば、その周囲を封鎖して、日本人の立ち入りを拒否することができる。

 

  サンフランシスコ講和条約をはじめ、安保条約、地位協定には英語の「正文」と日本語の「訳文(仮訳)」しかない。つまり日本語の「正文」がない。ということはその「条文」の解釈権が永遠に外務官僚の手に残されるということである。

 

  吉田内閣はサンフランシスコ講和条約の交渉に向けて「国会や世論のチェック機能に頼ることを自分から拒否した」ことで「アメリカ依存の秘密外交の道」転がっていくことになる。

 

  戦後日本のもっとも重要な基礎であるべきサンフランシスコ講和条約に日本語の正文が無かった事。そして講和条約に入れられないほどひどい条文は、国民の目に触れられない形で安保条約に入れられ、さらに安保条約に入れられないほど売国的な条文は日米行政協定(地位協定)に押し込めた。戦後日本の国際社会への復帰は、そうした何重もの隠蔽の上に行われたものだった。

 

Q&AD

Q:東京大学にオスプレイが墜落したら、どうなるのですか?

A:答えは沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事故(20048月)のケースと同じ。米軍は東京大学を封鎖し、日本の警察をはじめ、日本人の立ち入りは禁止される。(では皇居や総理官邸や国会議事堂に墜落したら?たぶん同じように日本人は締め出されるのだろう。)

 

  沖縄国際大学、米軍ヘリ墜落事故の時、沖縄は大騒ぎになったが、この日のNHKニュースは@巨人軍渡辺オーナー電撃辞任、A谷亮子金メダル獲得、B野村忠弘金メダル獲得。ヘリ墜落事故は4番目のニュースだった。マスメディアは腐っているとしか思えない。この後日米合同委員会でガイドラインが出来たが、これは日本全土の沖縄化を意味するものである。

 

  本土での米軍機墜落事故

  19686月九州大学にファントム墜落。

  19779月横浜市緑区にファントム墜落、幼い子供たちと母親が犠牲になる。

  19886月伊方原発近くに米軍ヘリ墜落。

  この3件について、米軍は日本の警察の現場検証を認めていた。

  今後は日本全土の沖縄化により立ち入りが出来なくなる可能性あり。

 

Q&AE

Q:オスプレイはどこを飛ぶのですか?

  なぜ日本政府は危険な軍用機の飛行を拒否できないのですか?

  また住宅地で危険な低空飛行訓練ができるのですか?

A:日本全国を飛ぶ可能性がある。

  米軍機には日本の国内法もアメリカの国内法も適用されない。米軍機は日本の航空法の「適用除外」になっているため、日本政府は拒否できない。

 

  日本人を標的にした軍事演習

  沖縄県北部の高江地区はベトナム村に擬せられ、住民をべトコンに見立てて、軍事演習を行っていた。小高い丘の上に「貴賓席」のような場所を作り、米軍幹部が軍事演習を眺めていた。

 

Q&AF

Q:ひどい騒音であきらかな人権侵害が起きているのに、なぜ裁判所は飛行中止の判決を出せないのですか?

A20107月、福岡高裁・沖縄支部で「普天間基地爆音訴訟」の判決が出た。

  「損害賠償は認めるが、米軍機の飛行差し止めは棄却する」というもの。

 

  裁判所の限界、司法救済の限界

  判決文を詳しく読むと、米軍に対して何も口出しできないという司法の限界がよくわかる。「米軍機の飛行差し止めについては司法による救済はできない」と裁判所ははっきり断言している。

 

Q&AG

Q:どうして米兵が犯罪を犯しても罰せられないのですか?

A:日米地位協定によって米兵が公務中にどんな罪を犯しても日本側が裁く事はできない取り決めになっているからだ。公務中でなくても日本の警察に逮捕される前に基地に逃げ込めば、逮捕は非常に難しくなる。基地に逃げ込む前に逮捕できたとしても日本側が裁判を放棄するという密約が日米間で交わされている。

 

  1950年代に本土で起きた米軍犯罪

  ロングプリー事件(19589月)。西武池袋線に乗った音大生が、米軍ジョンソン基地(現稲荷山公園)内の米兵から狙撃され車内で死亡した。形だけの裁判が行われ、浦和地裁の判決は禁固10ヶ月という驚くべき軽いものであった。

 

  19578月茨城県、米軍水戸飛行場から飛び立った米軍機の超低空飛行によって、自転車に乗った女性の首と胴体が真っ二つに切断され死亡した。27歳の米兵のいたずらであったと断定されたが、公務中ということになり、日米地位協定にもとずき日本側の裁判権は放棄され、捜査は終了した。日本政府はわずかの金銭補償を行ったのみである。この時代の米兵は日本人を同じ人間として扱っていなかった。

 

  ジラード事件(19571月)群馬県相馬、米軍演習場内で鉄くずの薬きょうを拾いにきた農婦が銃撃され死亡。21歳の米兵ジラードが46歳の農婦を「薬きょうたくさんあるよ」と手招きし、近づいてきたところを突然「出て行け」と叫んで銃撃した。遊び半分で人を殺しておいて何が公務中だ、と日本の世論は沸騰した。米軍は反米感情の高まりを懸念して、裁判権を日本側に渡したが、「ジラードは殺人罪ではなく、傷害致死材で起訴する事。可能な限り罪を軽くすること。」が秘密合意事項となった。判決は懲役3年、執行猶予4年。ジラードは結婚した日本人女性と帰国してしまった。

 

  このように日本の司法も密約によって蝕まれている。

 

 

以下工事中です。順次書き足していきます。










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