「戦後史の正体」孫崎享(まごさきうける)著

 

https://encrypted-tbn3.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRYHEPRO4lfYCGdAWWmxqr4PiCujDpmgiJHwmrhEAFOP1NRLMrA https://encrypted-tbn3.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRJFbDkNLWtqDZhNgUG2SwpMJgj-cY_2KhUJdKunX2mZrCxpn3heQ https://encrypted-tbn1.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSKKljtNdrllRWthN3IYgi9j0b4X2DPDK5c4B9LSi1Rvmfk1Rl-1Q

孫崎享氏

 

孫崎享インタビュはこちら

 

孫崎享はネトウヨ(インターネット上の右翼)からは「売国奴」とか「中国共産党の手先」とか呼ばれているらしい。しかし、元外交官が書いたこの本は、アメリカによる日本支配の実態がよく書かれている。戦後日本の政治は、アメリカからの自主独立派とアメリカ追随派とのせめぎ合いによって成り立っているとする視点は、まさにその通りだと納得させられる。外交の現場にいた人間なので非常に説得力がある。そして自主独立派は、ことごとく、東京地検特捜部、国税局、マスコミを使ってアメリカの差し金のもと、日本人の手によって抹殺され続けてきた。アメリカ追随の首相は、長期政権を築いている。日本はまさにアメリカの植民地であると実感させられる。とても独立国とは思えない。アメリカからいいように支配され、むしり取られ、日本政治は唯々諾々とアメリカの言うことを聞いている。アメリカは日本人を「東洋の猿」位にしか思っていないのではないかと思えてくる。西洋人の人種差別意識は簡単には払拭できない。

「アメリカに潰された政治家たち」は現在図書館に予約中。

 

印象に残った部分を以下に書きます。

@自主独立路線の排斥はアメリカの人間が行うだけでなく、哀しい事だが、アメリカと関係を重視する日本人のグループが排斥に加わる。吉田茂が筆頭。

 

Aアメリカの陰謀、ひどい例。ケネディの時代、自国の船を撃沈し、偽のテロ活動を行ってそれを理由にキューバへ侵攻する計画(ノースウッド作戦)があった。ケネディはこれを却下。(その後ケネディは暗殺される)ジョージワシントン大学公文書館で見ることができる。こうした事実を知らないで国際政治を語っているのは日本だけ。

 

B真珠湾攻撃について、イギリス首相チャーチルは「満身これ感激と興奮」状態で喜んだ。これでアメリカが参戦する。これで第二次大戦に勝ったと確信した。

(やはり日本は罠にまんまとはまったのだ。)

 

C敗戦後すぐ、GHQは日本に対して「公用語は英語」「米軍に対する違反は軍事裁判で処分」「通貨は米軍軍票とする」を考えていた。これに体を張って阻止したのは外交官、重光葵(しげみつまもる)であった。

 

C日本は、戦前は軍人をボスとする奴隷国で、戦後はGHQをボスとする奴隷国に変わったとみられている。

 

D19455月片山哲、社会党政権誕生。マッカーサーはなぜこれを許したか?片山はクリスチャンであったため。

 

E特捜部の前身は、GHQのために働く機関「隠匿退蔵物資事件特捜部」である。

つまり旧日本軍や財閥によって隠された物資をGHQの管理下に置く役目があった。

小沢一郎事件「東京地検特捜部は日本の正当な自主路線の指導者を意図的に排斥する役割を果たしてきた。」

 

F下山事件、ゾルゲ事件、ロッキード事件、いずれも闇の世界、米国の関与が囁かれる事件。

 

G1979年進藤栄一筑波大学助教授は米国公文書館から驚くべき文書を発掘氏、「世界」の「分割された国土」論文を発表。昭和天皇はアメリカに対して「沖縄を半永久的に軍事占領して欲しい。」と伝えている。この事実を学会もマスコミも黙殺した。

(天皇もone of A級戦犯としてアメリカと裏取引していた。)

 

H冷戦により、日本の占領政策は180度変わった。「日本経済を破壊し、日本軍が占領したアジアの国々の生活レベルより上にさせない。」から「日本を共産主義の防波堤にし、日本経済を少なくとも自給自足できるまで引き上げる。」になった。

 

I領土問題、国後、択捉の2島は第二次大戦末期に米国がソ連に対して対日戦争に参加してもらう代償として与えた領土なのです。しかも、その米国が冷戦勃発後、今度は国後、択捉のソ連への引き渡しに反対し、わざと「北方領土問題」解決できないようにしている。理由は日ソのあいだに紛争の種を残し、友好関係を作らせないためです。

こうゆうことは国際政治の世界では常識。英国など植民地から撤退するとき、あとに紛争の火種を残す。かつての植民地が団結して反英勢力なると困るからだ。イギリスの伝統的手法。ロシアとは北方領土、韓国とは竹島、中国とは尖閣と見事なくらいどの国とも国境をめぐる対立や紛争がある。しかし、日本ほどその解決に向けて動けない国はない。それは米国に意図的に作られているからだ。

 

J不審死。

重光葵:夕食、就寝後突然苦しみだし、そのまま亡くなった。

石橋湛山:政権についた直後、病気になり退陣。

柴田秀利:正力松太郎の懐刀。原発導入に尽力。アメリカとのパイプ役。

     自叙伝を出版した翌年、フロリダのゴルフ場で変死。

(どう考えても薬物攻撃があったとしか思えない。)

 

Kニクソンー佐藤栄作密約。 核持ち込み密約。繊維密約。

佐藤は繊維密約を守らなかった。日本に通告なしのニクソン訪中、ニクソンショックはニクソンの報復。

 

Lロッキード事件の異常さ。田中角栄はアメリカの虎の尾を踏んだ。石油を巡っての独自外交、日中国交回復。

 

M1985年プラザ合意。円高不況。日本経済空洞化。バブル経済とバブル崩壊。

これらみなアメリカの意向。

 

N仮想敵国ソ連がなくなると、米軍はこれまで維持してきた膨大な軍事力が不要になる。今までの軍事戦略も意味のないものになる。しかしアメリカは膨大な軍事力を維持し続けている。

 

O小泉純一郎は安保面だけでなく、経済面でも対米従属を強くした。これが郵政民営化の本質。

 

PTPP 米国はなぜ日本にTPPを執拗に迫るのか?

その理由1.日本が中国と接近することへの恐れ。

その理由2.米国経済の深刻な不振。対外輸出で経済を浮揚させたい。米国製造業に競争力はない。残された分野はサービス分野。しかしこれは、その国の生活と密接に関係しているため様々な規制があって、外部参入困難。この壁を一気に崩そうというのがTPP

 

TPPによる弊害。これまで日本の繁栄を支えてきた素晴らしい社会システムが次々と破壊されるのは確実。特に医療、国民皆保険システム

 

Q民主党への政権交代。鳩山由紀夫も米国に虎の尾を踏んだ。

その1.日米地位協定の改定を求め、在日米軍基地の見直し、「最低でも県外」で米国と交渉。

その2.東アジア共同体の構築。とりわけ中国との関係改善。

鳩山由紀夫、小沢一郎は潰された。この時直接手を下したのは米国人ではなく、日本の官僚、政治家、マスコミである。

 

R対米追随派の代表:吉田茂、池田勇人、三木武夫、中曽根康弘、小泉純一郎

自主独立派の代表:重光葵、石橋湛山、岸信介、佐藤栄作、田中角栄、宮沢喜一、

         細川護煕、鳩山由紀夫(岸、佐藤は?と思う)

inserted by FC2 system